寵愛の姫 Ⅰ【完】



「…暁…。」



莉茉が俺の袖口を握る。




小刻みに手さえも震えてた。






……愛おしい。



込み上げる莉茉への思い。



「莉茉。」


その小さくて細い、今にも折れてしまいそうなくらい繊細な莉茉の指に、自分の手を重ねる。



「莉茉、






―――ーーーー俺はやくざだ。」


「……え?」



莉茉の瞳が見開かれた。
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