寵愛の姫 Ⅰ【完】



「莉茉?」


「―――良かった。」


「……、」



莉茉を引き離そうとした俺の手の動きが止まる。




―――良かった?


何がだ?




俺の頭の中は莉茉への疑問で一杯だった。



「…暁に捨てられるかと思った…。」


「…っ、莉茉…。」



啜り泣く莉茉を掻き抱く。



「――捨てる訳がねぇだろ。」



やっと手に入れた、こんなにも大切な存在を手離してたまるか。
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