寵愛の姫 Ⅰ【完】
「…なぁ、莉茉。」
「……うん?」
俺抱き付いたまま、泣き濡れた顔を上げる莉茉。
「……莉茉、お前は俺がやくざだと聞いて怖くないのか?」
莉茉に頷かれたら傷付くと分かっていても、聞かずにはいられない。
「ううん、怖くない。」
莉茉が首を横に振った。
「…、怖くないのか?」
「うん、暁がやくざでも私は怖くないよ。」
真っ直ぐに俺を見つめる瞳。
「…暁?」
莉茉の白く小さな手が俺の頬へと伸ばされた。