寵愛の姫 Ⅰ【完】





「そんなに驚いた顔をしてどうしたの?」


「…いや、もっとお前が怖がると思ってたんだよ…。」



…何でだ?



どうして、俺がやくざだって聞いて、そんなに平然としてられるんだよ…。



「…だって…。」


「うん?」


「やくざよりも、本当に“怖い物”を私は知ってるから…。」



淡く莉茉が微笑む。



「……?」



やくざよりも怖い物…?



何だ、それは……。




俺は首を捻った。
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