寵愛の姫 Ⅰ【完】



「……夜の繁華街は危険だって昨日、言っただろ。」



今に思えば、一目惚れだったんだろう。



こんなにも、この女の身を気にするような事を言ってしまうんだから…。



「……。」



「……?」



何も言わず困ったような表情を浮かべた莉茉に、俺は内心で首を傾げた。




…何か訳があんのか?




この場に固執する訳が。





―――その、悲しげな瞳の訳が。
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