寵愛の姫 Ⅰ【完】



「…泣くな。」



優しく暁が私の涙を拭う。




……無理だよ。



そんな話しを聞いて、平静でなんていられない。



「っ、」


「…莉茉…。」



泣く私を暁の腕が引き寄せる。




すっぽりと包まれる身体。




どくどくと、私とは違うリズムを刻む鼓動が堪らなく愛おしい。



「……っ、暁……。」



そっと暁の胸に口付ける。





初めて、






………この人に抱かれたいと強く思った。
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