寵愛の姫 Ⅰ【完】





多くを語る訳でもなく、ただ私と同じように人の波を見ながら、黙って煙草を吸い始める。



そして、私が立ち上がって帰り出すと、天野さんもこの場所から立ち去って行く。



別れ際に、もう来るなと言い残して…。




その繰り返し。




初めは緊張した。


でも、何度も同じ事の繰り返しだと、私の天野さんへの警戒心は薄れていく。
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