寵愛の姫 Ⅰ【完】
げんなりと、深々と溜め息を吐きたくなる。
「待ち合わせとかじゃないみたいだし、どう?もし暇なら、これから俺とどっか行かない?」
「…………。」
「俺、楽しい所いっぱい知ってるしさ。」
「…………。」
「退屈させないよ?」
そんな私の変化にも気付かないナンパ男は、べらべらと喋り出す。
人は嫌い。
私の事を、使える“道具”としか見ないから。
「ねぇ、どう?」
目の前の、この人もそう。
私に対して、ぎらぎらと隠しきれない欲望を、その身に孕んでいる。