寵愛の姫 Ⅰ【完】



「天野さん格好いいですね」



「ゲホッ!」



不覚にも、そんな莉茉の呟きに俺は動揺した。



思わず煙草の煙りに咳き込んでしまうぐらいに…。



「お前っ!」


…計算か?




俺は途中まで出掛かったその言葉を切る。



「はい?」



訳が分からないとばかりにきょとんと俺を見上げる莉茉に、打算や計算が出来るはずがねぇ……。
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