寵愛の姫 Ⅰ【完】



こっちを見ろ。



俺だけを見てくれ。


他のやつなんか見るな。


…………言えない言葉の数々。






さらりと遠くを見つめる莉茉の髪が風によって靡き、項を露にさせた。



「っ、」



―――抱きてぇ。



それだけでも、俺を欲情させるには十分だった。
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