寵愛の姫 Ⅰ【完】




「……、」



……まだ駄目だ。




ゆっくり、


まずは確実に莉茉との距離を縮めるのが先だ。




俺は必死に欲望を押さえる。



今はまだ、

……その華奢な背中を見守るだけで良い。



「……。」


「……。」




俺達の間に静かな心地良い空気が流れる。





ーーーーこんな些細な会瀬さえも、今はまだ愛おしいのだから。
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