寵愛の姫 Ⅰ【完】

茉莉






「――良し!」



自分自身で最後のチェック。




何て言ったって、天野さんと出掛けるのなら、少しでもましな格好をしなくてはいけない。




……少しでも釣り合えるように…。


「……。」



まじまじと自身の今日の服装を見下ろす。




この狭い部屋に鏡なんて物はなく、本気に寝るだけの広さしかない。



殺風景な程に何も置かれてはいなかった。
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