寵愛の姫 Ⅰ【完】




「……。」



ぐっと鞄を持つ手に力が入る。




息を詰めて、そのまま静かに玄関へと歩みを進めた。



ゆっくりと靴を履く。




ーーーここまでは順調だ。



「……。」


大丈夫、このまま誰にも合わない。


そっと玄関の扉に触れ、静かに押し開けようとした。


その時。


「莉茉…?」
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