寵愛の姫 Ⅰ【完】



「っ、!」



次の瞬間、

背中に掛けられた“彼女”の聞きたくなかった声によって、大袈裟なぐらい私の肩が跳ねる。


「…… 茉莉(まり)。」



恐る恐る振り返れば、会いたくなかった私と全く同じ顔をした妹がいた。





ーーー莉茉と茉莉。



似たような名前を与えられた、双子の姉妹。



…………私達2人は、そっくり同じ顔をした一卵性双生児だった。
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