寵愛の姫 Ⅰ【完】
災禍
この街で守られていた事も知らず、ぬるま湯に浸かっていた私は、本当にバカだった。
少しの油断が、命取りだったのに。
「ねぇ、聞いてる?」
ナンパ男が、私の顔を除き込んでくる。
「…、」
はっと、男に焦点を合わせればニヤニヤと笑みを浮かべていた。
…何?
怪訝に男を見上げていれば、いきなり強引に腕を引っ張られて立たされる。
「っっ、いっ!!」
あまりの強い痛みに、私の顔が歪んだ。
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