寵愛の姫 Ⅰ【完】




「……。」


「……?」




ヘルメットを見つめたまま動かない莉茉に俺は首を捻る。




「…莉茉、どうした?」




顔を覗き込めば、莉茉は恥ずかしそうに目をさ迷わせた。




「…すみません。」


「うん?」


「…付け方が分からないです…。」



涙目の莉茉に俺は吹き出す。




「早く、そう言えよ」



笑いながら莉茉からヘルメットを取り上げ、付けてやる。
< 92 / 381 >

この作品をシェア

pagetop