寵愛の姫 Ⅰ【完】




「海には初めて来たので、嬉しいです。」


「…初めて?」


「はい!」



満面の笑みで頷く。



「…綺麗…。」



太陽の光を反射して、きらきらと眩しいぐらいに輝く海。




私の目が釘付けになる。







だから、気付かなかった。



「……。」



難しい顔をした天野さんが私を見つめていた事に…。



ちっとも気付かなかった私は浮かれてたんだ。



ーーーー茉莉が静かに動き出していた事も知らずに―――。
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