Dilemma
「あそこだ!見えてきたぞ」

里美がバイクを運転しながら、前を指差した。


「紫ノ宮町第3公園…ここで間違いないですね!」


愛梨が頷く。
里美と御崎はキキッとバイクを止め、そして愛梨と棗もバイクから下り立った。


「高蔵たちはおそらくこの奥の霊園にいるはずだ。急ぐぞ!」


里美たちは一斉に走りだした。


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「もういーかい?」


「もういーよー!」


「よっしゃ!さぁどこだお前ら、さっさと出てきやがれぇ!」


「うわあボスがこっち来た!」


「もうちょっとそっち詰めろよ早く!」



里美たちは言葉を失った。
何故なら、絶体絶命の大ピンチに陥っていると思っていた志暢が、若宮たちと缶けりをエンジョイしているのだから。



「…もしもし」


「あっ相棒みーっけ!缶けーった!」

「あーくっそ!私が鬼かよ。」


「…おい」


「みんなー次は相棒が鬼だー!」


「おいっ!」


「うわっなんだよ…って奥口!?」



いつの間にか背後に立っていた里美に若宮は驚き、ばばっと後退りした。


「御崎も…お前らいつの間に」


「いやお前らが仲良く缶けりしてるときにだよ!おい高蔵!なんでお前も遊んでんだよ!?」


「いやーこれでも頭使ったんですよ?先輩たちが来るまでの間、時間稼ごうとして。」


「…やはり相棒そのつもりだったか。ま、あっしは最初からわかってたけどな!」


「絶対嘘だ。お前が一番エンジョイしてただろが。」


里美と若宮が言い争っている間に、缶けりで隠れていた若宮の部下たちがジリジリと近寄って来る。

里美たちは5人。圧倒的不利だ。




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