Dilemma
「…ふん。なんだ、たったの5人か。チーム菅谷の部下たちはどうした?」


「…一応あたしたちはチームを抜けた身だからな。頭下げて頼んできたよ。」


「…まぁいいだろう。菅谷がいなくなってから退屈していたんだ。ここで決着といこうか?それに…お前には聞きたいこともあるしな。」


「先輩、その人元総長さんの墓を破壊しようとしてたんスよ。」


志暢が里美に耳打ちする。


「バカなマネを。そんなことをしてもあの人に勝ったことにはならないぞ?…覚悟は出来ているんだろうな?」


里美は静かに若宮を睨み付けた。


「…あの人はもういない。…だから、あたしたちで決着を…!」


「いざ尋常に」


「「勝負!」」



里美と若宮が勝負を始めたことにより、若宮の部下たちも一斉に志暢らに襲いかかってきた。



「うらぁぁぁ!!」


「うおっと!」


ブンッと振り回された鉄パイプから間一髪で志暢は避ける。


「コラァ逃げんな翡翠組!」

「え、翡翠組?なにそれ」

「いいから逃げろ愛梨」


事情を知る志暢は愛梨の手を引いて走りだした。


「棗!御崎先輩!」

振り返りながら、愛梨が叫ぶ。

二人は部下たちに囲まれて、身動きが取れない状態に陥っていた。


「あたしたちのことはいいから、菅谷さんの墓を守って!」


「でも…」


愛梨が躊躇うように俯く。


「…あたしたちが菅谷さんのことを忘れてしまったら、菅谷さんの生きた証はあの墓だけになる。…あたしはあの人が生きた証を守りたい!だから行け!」


「早く!」と御崎に急かされ、愛梨は意を決したように走りだした。




「…頼んだぞ改生会」


「…その改生会はここにもいるんですけどねぇ」


棗が近くにいた部下の首を締め上げる。


「ぐふっ…くるしっ…」


「ほんま改めて生きる会、のはずやのにろくなことに巻き込まれへんわ。一体何のためにこの学校に来たんやら。」


ドゴッと豪快な音を立てて、一気に人ひとりを地面に叩きつける。


「…血が騒ぐなぁ。」


「わーお。さっすが京都の伝説の不良。血を血で洗うってか?」


「あっは!伊達にあないな場所でヤンチャしてませんよ!」

御崎は口角を上げる。


二人は一斉に敵を殴り飛ばした。



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