Dilemma
一方、棗と御崎は不利な戦いを続けていた。二人は満身創痍だったのだ。



「…ハァ…大丈夫か沖田…ハァ…」

御崎が苦しそうに呼吸をする。


「あはは先輩こそ。うちはこのまま10時間はイケますよ?」


「マジか…バケモノかよ。あーあ!早く帰って紅茶でも飲みたいなぁ」


「フフっそうです…ねっ!」


言いながら、御崎に背後から襲いかかろうとする敵を棗が蹴り飛ばす。


それを見た御崎も、近くにいた敵を投げ飛ばした。



「…崎さん!御崎さーん!」


「…お前らァ!おっせーよ!!」

「あれは?」

「…あたしたちの仲間だよ!」


御崎と棗が見つめる方向、霊園の入り口から、チーム菅谷のメンバーたちが走り寄ってくる。




「…御崎さんすみませんでした。あたしたち、今までろくに菅谷さんに会いに来ようとしなかったのに今さら…」


「…良いんだよ。里美も、菅谷さんも喜ぶ。」


「…ですが」


御崎の瞳から、一筋の涙がこぼれ落ちた。



「…あの人は、あたしたちのことをずっと、待っててくれていたから。」


「…はい!」



御崎が大声で部下たちの士気を上げる。



「お前らァァァ!チーム菅谷が全員集合したらどんな奴らにも負けるはずがねぇ!気合い入れてくぞォォォ!!」


「オオオオオオオ!!!」


部下たちもそれに答える。


双方が再びぶつかり合おうとしたその時、





「待てぃ!!」


一人の凛、とした声が響いた。



突如、強い風が吹き舞い乱れる木葉の間から、高い位置で結んだ黒髪を揺らしながら、ひとりの少女が歩いてきた。



その姿を見た瞬間、御崎がゲッ…と顔を歪ませる。


「…ついにご登場か…」


「…あれは?」


棗の問いに、御崎が答える。




「生徒会執行部サマサマだよ…」




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