Dilemma

「…知り合い?」

「バカ、仕込み刃の扇子持ったこんな思考も言動も大気圏外っ娘知らねぇよ。」

うんざりとした口調で志暢は答えた。

「あららー?ウチ結構有名人やと思っててんけどなーおかしいな。」

「はいはい自意識過剰は良くないですよー…っつーことで」


ガン!
何の前触れなく志暢はいきなり窓枠を蹴りあげ、窓際に腰掛けていた棗はバランスを崩して、窓の向こうへ落ちていった。

「!」

「じゃーな、大気圏外野郎。」

「ちょっ」

急いで愛梨は窓際に駆け寄った。


「なにしてんのあんたァァァ!!!」

「はっはっはっ」

「笑ってる場合か!この殺人者!」

べちんっと志暢の頭を叩き、窓から乗り出す。

「おっ沖田さーん!!」

「いてて…大丈夫だって。見ろ…」

「!」



そこには、落ちた筈の棗の姿が無かった。

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