Dilemma
この話はこれにてお仕舞い、とばかりに志暢も食を進めた。
「あ~ららそこのお二人さん。昼食まで一緒なんて、仲ええんやね?」
「ぶほっ!」
「うわ、きたな」
予想外の人物の登場に、思わずカレーを吹き出した愛梨を汚物を見るかのような目で志暢は見た。
「うわ生きてたんだ~」
「あはは冗談キッツいわ~志暢ちゃん。」
高らかに笑いながらも、棗の目は全く笑ってはいなかった。
「沖田…といったか。」
「うん?」
「お前は何か勘違いをしている。」
「はぁ…さいですか」
びっ!と愛梨を指差しながら志暢ははっきりと告げた。
「こいつとは別に仲良くもないし、べっ別に友達なんかじゃないんだからね!こいつは私の下僕…がはあっっ!」
「ツンデレか貴様はァァァ!!」
本来ならばこのあと「下僕だ」、という言葉が続くのだが、それは愛梨が投げたカレーの容器(もちろん空っぽ)が顎に直撃したことによって阻止されたのだった。