Dilemma
「あ~心底不愉快だ。」
今さっき傷つけられて赤くなった顎をさすりながら、志暢は廊下を歩いていた。

その後ろには愛梨、そして何故か棗までもがついてきていた。

「だからゴメンって。ちょっと度が過ぎたツッコミだったとは認めるよ。」

「お前はツッコミのなん足るかがわかってねぇんだよ!」

「むしろもっと強くてもよかったんちゃう?ラーメン鉢とか。」

「お前は話に入ってくんな!悪化する!」

確かに今回はやり過ぎたと、愛梨も自覚していた。
…といっても、志暢と初対面した時のほうが自分はもっと酷い目に遭ったのたが。

自分に都合の悪い記憶は全て忘れるらしい、この女。

それが高蔵クオリティ。

< 18 / 115 >

この作品をシェア

pagetop