Dilemma
「危なっ…!」

まっ逆さまに落ちてくる少女を、咄嗟にキャッチしようと愛梨が身構える。

しかし


メキメキメキッ
「愛ちゃん危ない!」

少女の体重に耐えられなかったのか、大きな木が豪快な音を立てて倒れてきた。

突然のことに愛梨は動けない。


瞬間、頭の中に映像が流れ始めた。

鞄が顔にめり込んだ瞬間、
棗がガラスを割って教室に入ってきた瞬間、


血まみれになった母の前で茫然として立っている自分の姿。




これ…走馬灯…ってやつ…?


その思考が終わる前に自分の人生も終わりそうだと思った。





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