Dilemma
もう何年も使われていなかったらしく、埃を被ったドアノブを開けると、キィ~とまるでお化け屋敷のような音がしてドアが開いた。
「…ったく埃っぽい部屋だな、オイ。」
部屋に入ると、そこはまるでゴミ屋敷だった。
「なにこれ…ゴミだらけじゃない。ここ…なんの部室だったんだろう。」
埃だらけの部屋には、他の部活動で使われていたらしい道具が足の踏み場も無いほど置かれている。
「これは…漫画雑誌?漫画研究同好会とかかな。これはCDディスク。何部のだろう…」
ガサガサとその辺にあるものを見ても、よくわからないものばかりだ。
「げっこんなとこにペットボトルの山があるぜ。一体何に使うつもりだったんだ、これ」
山の上から一つ、ペットボトルを取り出すと志暢は思いっきり嫌そうな顔をした。
「…ボトルシップ」
「いや無理だろ。」
吐き捨てるように言って、志暢はペットボトルを持ってきたゴミ袋の中に投げ捨てた。
「…しゃーねーな。さっさと終わらせようぜ、掃除。棗が来る前にやってよ。アイツになんか奢らせようぜ?」
「あはは…それは賛成だけど、多分キレられるだろうね。」
棗に奢らせるかどうかは別として、とりあえず二人は掃除を始めた。