Dilemma
がたん、と志暢が乱暴に箒を床に置いた。

「ふー。やっと終わったな…」

「うーん。っはぁっ…あーやっぱ綺麗になると気持ち良いね!心が洗われるっていうか」

「心は洗われても、体は汚れてるけどな」

「こらこら…」


ああ言えばこう言う。本当に口が減らない奴だな、と愛梨はやれやれと笑った。

「っつーかマジでアイツ最後まで来なかったな。良いのかよ?」

「まぁまぁ、棗も先生に呼ばれてるって言ってたししょうがないんじゃない。」

「なーんか腑に落ちねーな。まぁ、アイツに何か奢らせるってのは半分冗談だった訳だが。」

「冗談だったんだ!?」

志暢のことだから100%本気なのだろう、と決めつけていたがどうやら違ったらしい。

「いや、絶対何か奢らせるって今決めた」

「そ…そう。」

愛梨はもうどうにでもなれ、と半ば投げやりに言った。
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