Dilemma
いつになく棗はニコニコと笑っている。
逆に怖いくらいだ、と愛梨は思った。

「今しがた職員室で先生にお説教食らってきてなぁ。ウチが今回の騒動の原因やからってめっちゃ話長くて困ったわ~」

愛梨には全くそんな風には見えなかったが。

「そんでなぁ、こっからが本題。」

スッと棗が白い封筒を取り出した。


「理事長からの手紙を受け取ってきた。」











『転校生の高蔵志暢・久堂愛梨・沖田棗は本日より改生労働会を結成し、自分の罪を償うこと。』












「………………………」

愛梨は言葉を失った。


「…成程な。」

志暢も多少驚きながら、掠れた声を出した。


「すべては贖罪の為、か…」


棗は何かを察したのか、何もいわずにただ微笑むだけだった。


「これで確信に変わった。」
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