Dilemma

「でも、部長になったらそれなりの権限はあるし。面倒臭いことばっかって訳でもないよね。」

「例えば?」

「例えば…部長ってだけでキッチリしてるように思われたり、先生にも信頼されたり、あと基本的に部長の言うことは部員みんな聞いてくれるし…」

「…………うん。」

やはり志暢の心は動かなかった。

「しゃーねぇな。こうなったら完全指名制でいこう。」

「え~それで決まる?」

「うるせぇな。いつまで経っても決まらねぇだろ。いくぞ、いっせーのーで」

志暢は棗、棗は志暢、そして愛梨は自分を指差した。


「…おい地味何自分指してんだ」

「せめて名前で呼べ!だって二人が部長になるくらいなら、私がなったほうがマシかな…なーんて…」

「…………………」
「…………………」

結論:なんか変な空気になった。


「…もう部長なしでいいんじゃねぇか」

「!」

「いいの…?」

「嫌がってんのに、誰かを無理やり部長にしたって意味ないだろ。だからせめて…」

志暢が自分をびっ!と指差した。


「…私が副部長をやってやるよ。」

「…志暢…!」

「志暢ちゃん…!」

「ま、責任被んの嫌なだけだけどな。」

「お前やっぱ副部長降りろ。」

新・副部長 高蔵志暢
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