Dilemma
第4刻・永遠の罪人
「ふーん簡単な依頼で良かったやない。」

「バカ、ワケわからん理由でずる休みしたお前にだけは言われたくねーよ。」

「って言っても結構志暢もノリノリだっじゃない。」


志暢と愛梨は昨日お休みだった棗と共に、通学路を歩いていた。

別にこの三人家が近いとかそういうことではないのだが(というかお互いの家を知らない)、たまたま駅で一緒になったとかそういうご都合主義。


「それよりも」

志暢は少し声を小さくして言った。
なんだろう、と愛梨が首を傾げる。

「知っていたか」

「なにを」

間をおいて一言。


「この学園に生徒会長がいないことを。」


三人は揃って歩みを止める。

そびえ立つは巨大な正門。
中に入ればまた、改生労働会としての一日が始まる。


「…さぁなぁ。まぁ、噂で聞いた程度、や」

棗は意地悪く笑う。

「…フン。」



相変わらず食えない奴だ、と志暢は口角を上げた。




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