Dilemma
「あら志暢ちゃんどこ行くん?」
突然立ち上がり、ガラリとドアを開けて何処かへ立ち去ろうとする志暢に声をかける。
「野暮用思い出した。」
「…………あの」
「大丈夫。志暢は大体いつもあんな感じだから気にしないで。それよりもその安さんって人のこと聞いていい?」
斎藤は「はい」と頷く。
「安樹恵理ちゃん。紫ノ宮学園女子高等学校一年八組37番。誕生日は3月7日。血液型O型。3人家族。ペットは犬のパンティバイバイ。好物は抹茶系のお菓子や飲み物。中学3年生の時にデビュー。事務所は山田プロダクション。キャッチフレーズは…」
呆然とする愛梨と棗をよそに、そこで一旦斎藤は息を吐く。
「キャッハーン!ぷりてぃはぁとぱわぁでみんなのハートをディストラクション!股の下からジュエリング☆だよぉ!」
沈黙。
最早ツッコミ所が多すぎて間に合わないとはこのことなのだろう。
「…どうですか?」
「…え…うんその…強く生きて…」
何とも言えない空気になったとかならなかったとか。
「で、肝心の依頼って?」
「そうでしたね。…うーん言おうかな、言わないでおこうかなぁ…」
「いや言えよ!ここまで引っ張っといて言わないとかアホだろ!」
「…今度樹恵理ちゃんの初ライブがあるんです。そこで…私、樹恵理ちゃんの初ライブを成功させてあげたいんです。」
キッと強い瞳で斎藤は言い放つ。
「…いや別にアンタが頑張らんでもライブは成功するやろ。何?アンタ自分の影響力凄いとか思てんの?」
「…そういう訳では無いんですけど…」
「棗。…斎藤さん、本当にそれが依頼なの?本当はもっと違うことじゃなくて…?」
「……初ライブを成功させたい、という気持ちは嘘ではないんです。でも…」
斎藤は苦しそうにギュッとスカートを握り締めた。
「…私、樹恵理ちゃんに謝らないといけないんです。」
「…アンタが安樹恵理さん?」
コツンッと靴を鳴らし、体育館の前で佇んでいる少女に声をかける。
「…あなたは?」
ニヤッと笑って答えた。
「改生労働会副部長 高蔵志暢だ。」
突然立ち上がり、ガラリとドアを開けて何処かへ立ち去ろうとする志暢に声をかける。
「野暮用思い出した。」
「…………あの」
「大丈夫。志暢は大体いつもあんな感じだから気にしないで。それよりもその安さんって人のこと聞いていい?」
斎藤は「はい」と頷く。
「安樹恵理ちゃん。紫ノ宮学園女子高等学校一年八組37番。誕生日は3月7日。血液型O型。3人家族。ペットは犬のパンティバイバイ。好物は抹茶系のお菓子や飲み物。中学3年生の時にデビュー。事務所は山田プロダクション。キャッチフレーズは…」
呆然とする愛梨と棗をよそに、そこで一旦斎藤は息を吐く。
「キャッハーン!ぷりてぃはぁとぱわぁでみんなのハートをディストラクション!股の下からジュエリング☆だよぉ!」
沈黙。
最早ツッコミ所が多すぎて間に合わないとはこのことなのだろう。
「…どうですか?」
「…え…うんその…強く生きて…」
何とも言えない空気になったとかならなかったとか。
「で、肝心の依頼って?」
「そうでしたね。…うーん言おうかな、言わないでおこうかなぁ…」
「いや言えよ!ここまで引っ張っといて言わないとかアホだろ!」
「…今度樹恵理ちゃんの初ライブがあるんです。そこで…私、樹恵理ちゃんの初ライブを成功させてあげたいんです。」
キッと強い瞳で斎藤は言い放つ。
「…いや別にアンタが頑張らんでもライブは成功するやろ。何?アンタ自分の影響力凄いとか思てんの?」
「…そういう訳では無いんですけど…」
「棗。…斎藤さん、本当にそれが依頼なの?本当はもっと違うことじゃなくて…?」
「……初ライブを成功させたい、という気持ちは嘘ではないんです。でも…」
斎藤は苦しそうにギュッとスカートを握り締めた。
「…私、樹恵理ちゃんに謝らないといけないんです。」
「…アンタが安樹恵理さん?」
コツンッと靴を鳴らし、体育館の前で佇んでいる少女に声をかける。
「…あなたは?」
ニヤッと笑って答えた。
「改生労働会副部長 高蔵志暢だ。」