Dilemma
「うわきたって何ですか?キタコレみたいな感じですか?」
「朝はあっさり終わるってか?キタコレ!」
「…そ、想像以上にノリが良くてビックリです…!」
「ナッツは私のこと何だと思ってるの?」
ジトッとナッツを見るも、本人は気にしている様子もない。
「そうだ!知ってます愛梨先輩?紫ノ宮学園七不思議。」
「うわキタコレ。王道的展開キタコレ。」
学園ストーリーならではのよくある展開だ。
「残念!実はそうはならないんです。」
「は?」
愛梨は首を傾げた。
「ていうかなんで突然七不思議?今までそんな流れあったっけ?」
「細かいことは気にしないで!七不思議といってもいろんなのがあるんですけどそうですねぇ…」
ナッツはスッ人差し指を立てた。
「”過去を変える魔女“が一番有名ですね!まぁ七不思議というより地域の都市伝説みたいなもんですかね」
「過去を変える…?」
「そう!よくある未来から来た未来人がこれから起こる未来を変える、とかじゃなくて、過去を変えることが出来る魔女なんです。」
「はぁ…よく分かんない」
「本当にいるのかどうか分からないけど、調べてみるのも楽しいですよ!実際、結構信憑性高いみたいで魔女について調べてる人多いみたいですし。」
「ふぅん…まぁ調べてみるくらいなら…」
「おもしろ現象取り扱う改生会にぴったりじゃないですか!?」
「お前改生会何だと思ってんだよ!!」
私たちはおもしろ集団だと思われてるのか、と愛梨は深く肩を落としたとか。
「”過去を変える魔女“…かぁ、ねっ副会長は信じてます?」
「…フン、バカバカしい。そんなもの信じている奴の気が知れんな。」
早朝の生徒会室。西谷は窓の外を眺めていた。
「…なーんて言っちゃって実は副会長も信じてたりぃ?」
「……………」
ぴたり、と書類を整理していた城土の手が止まる。
「…あ、私ッスか?信じてますよ、私も。あなただってそうでしょう?」
城土は静かに顔を上げる。
逆光で、西谷の表情は見えなかった。