Dilemma

「そういえばあれからジュエリちゃんとはどうなの?順調?」

サイトは柔らかく微笑んだ。

「はい。あれからジュエリちゃんとお友達になることが出来ました!皆さんのおかげです。…本当にありがとう。」


「…おう」


志暢はぶっきらぼうに頬をポリポリかきながら答えた。


本当の意味で誰かを救うことが出来たこと。

その事実は志暢にとってはむず痒いらしい。


「今日もジュエリちゃんと会う約束してるんです!メアドも交換したんで、メールで連絡しながら集合場所を決める予定で…」



「あれ?でもケータイ没収されたから、連絡取れないんじゃ…」


一瞬、沈黙が訪れる。


「…今すぐ職員室行って返してもらってきます!」


「頑張ってね~」と二人はダッシュで教室を出ていったサイトを見守った。



「…さてと。そろそろ部活行くか」


「うん」


志暢の言葉に愛梨も頷き、荷物をまとめ始める。



「…ねぇ、そこのブサイクちゃん?ちょーっといいかな?」


「…はい?」


突然話しかけられ、愛梨は驚いて顔を上げる。


「…え?私?私のことなの?」


「…あなた以外に誰がいるのよ。なに?もしかしてあなた自分のことカワイイとか思ってるの?」


「いやいやいや滅相もない!私なんてブサイク寄りの凡人ですよ!」


「いや凡人じゃないから。普通にブスだから。」



いきなり何なんだ!と目の前に立つ見慣れない少女を睨む(はいブサイクな顔で睨まなーいとデコピンされた)。


志暢を助けを求めるかのような目で見るも、それは無視の方向らしい。


「…誰?」


「フンっ。私のことを知らないだなんて…いいわ、教えてあげる。同じクラスの」


「あっちなちゃーん!はい、頼まれてたイナゴの佃煮…って誰そのブサイク」


「…ちぐさ、あれやるわよ。」


「…!OK、いくよ!」


唖然とする愛梨を放置し、ババッとポーズを決める。


「美しさは罪!好物はイナゴの佃煮!プリティーブルー松本ちなみ!」


「カワイイは世界を救う!好物は骨付き肉!プリティーピンク原西ちぐさ!」


『ふたりあわせて“ちーちるえりざべす”!!』



「…プリティーイエロー久堂愛梨…」


「止めんか」


べしっと志暢の頭を叩いた。





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