Dilemma
「あら美味しい。紅茶も意外とええもんですねぇ。」
すっきりとしたその後味に、棗は意外だと声を上げる。
普段抹茶などを愛飲している彼女には新鮮なのだろうか。
「だろ?クッキーもあるぞ。これは近くのデパ地下で買ってきた高いやつだぞ。」
「いただきます。」
「…にしてもあれだな。お前も変わったやつだよな。朝っぱらからあたしに何の用だよ?」
御崎が不思議がるのも無理はない。
だって今は朝なのだから。
朝焼けのティータイムは決して嘘ではないのだ。
現時刻 6時30分。まだ生徒がほとんど登校していない早朝にこの二人はティータイムを初めているのだ。
「なんていうか、こんな朝に放送室にいる御崎先輩もただの変態ですねぇ!」
「ちょっと待てその理屈はおかしい。あたしは変態じゃないからな!あたしは放送委員の仕事として早朝登校しているだけだから。」
「…仕事?」
棗がぱくっとクッキーを頬張る。
「そ、毎朝7時になると校門付近で音楽が流れてるだろ?あれ放送部がやってんだ。」
御崎の話によると、数年前に生徒の遅刻数に悩んだ教師たちが登校時に音楽を流すらことを提案したらしい。以降放送部の仕事になり、毎朝いろんなジャンルの音楽をかけ、生徒たちにさわやかな気分で登校してほしいと考えられたものなのだとか。
「それでこんな朝早くから…」
「ま、放送部部長だからなあたしは。みんなが嬉しいならあたしも嬉しいのさ。…なーんてこんな考えができるようになったのも、ヤンキー辞めたからなんだけどな。」
御崎はミルクティーを飲み干した。
そんな御崎を棗は何も言わずに見つめた。
「ヤンキー辞めてから心にゆとりができたっていうか…普通のことが楽しいって初めて思えるようになったんだ。」
「…そうですか。」
「喧嘩もキッパリ止めて、毎日テレビ見たり、家族と話したりして今まで見えてなかったものが見えるようになった。そっからかな、紅茶とかクッキーとかいわゆるセレブ?金持ち?みたいな趣味ができたんだ。」
御崎はティーカップを眺めた。
「それまで全く無関係な世界だと思っていたのに…今ではもっぱら小遣いはティーカップとか紅茶につぎ込んで、週末はいつもショップ巡りだよ。あたしは今、それが最高に楽しい。」
笑顔で言う御崎に、棗も笑顔で頷く。
「里美もそう思ってくれていると嬉しい。あいつにも…幸せになってほしいから。」
すっきりとしたその後味に、棗は意外だと声を上げる。
普段抹茶などを愛飲している彼女には新鮮なのだろうか。
「だろ?クッキーもあるぞ。これは近くのデパ地下で買ってきた高いやつだぞ。」
「いただきます。」
「…にしてもあれだな。お前も変わったやつだよな。朝っぱらからあたしに何の用だよ?」
御崎が不思議がるのも無理はない。
だって今は朝なのだから。
朝焼けのティータイムは決して嘘ではないのだ。
現時刻 6時30分。まだ生徒がほとんど登校していない早朝にこの二人はティータイムを初めているのだ。
「なんていうか、こんな朝に放送室にいる御崎先輩もただの変態ですねぇ!」
「ちょっと待てその理屈はおかしい。あたしは変態じゃないからな!あたしは放送委員の仕事として早朝登校しているだけだから。」
「…仕事?」
棗がぱくっとクッキーを頬張る。
「そ、毎朝7時になると校門付近で音楽が流れてるだろ?あれ放送部がやってんだ。」
御崎の話によると、数年前に生徒の遅刻数に悩んだ教師たちが登校時に音楽を流すらことを提案したらしい。以降放送部の仕事になり、毎朝いろんなジャンルの音楽をかけ、生徒たちにさわやかな気分で登校してほしいと考えられたものなのだとか。
「それでこんな朝早くから…」
「ま、放送部部長だからなあたしは。みんなが嬉しいならあたしも嬉しいのさ。…なーんてこんな考えができるようになったのも、ヤンキー辞めたからなんだけどな。」
御崎はミルクティーを飲み干した。
そんな御崎を棗は何も言わずに見つめた。
「ヤンキー辞めてから心にゆとりができたっていうか…普通のことが楽しいって初めて思えるようになったんだ。」
「…そうですか。」
「喧嘩もキッパリ止めて、毎日テレビ見たり、家族と話したりして今まで見えてなかったものが見えるようになった。そっからかな、紅茶とかクッキーとかいわゆるセレブ?金持ち?みたいな趣味ができたんだ。」
御崎はティーカップを眺めた。
「それまで全く無関係な世界だと思っていたのに…今ではもっぱら小遣いはティーカップとか紅茶につぎ込んで、週末はいつもショップ巡りだよ。あたしは今、それが最高に楽しい。」
笑顔で言う御崎に、棗も笑顔で頷く。
「里美もそう思ってくれていると嬉しい。あいつにも…幸せになってほしいから。」