Dilemma
「奥口先輩にもご趣味が?」

「さあな…あいつとは長い付き合いだけど、プライベートなことは未だにわかんねーよ。自分のことあんまり話すようなやつでもないし。でも…」


ふっ…と御崎の表情が暗くなった。


「あいつは今でも悔やんでる。」






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あたしと里美はもともと不良グループに所属していたんだ。若洲鹿とは違うぞ?チーム菅谷ってクソみたいにダサい名前のグループだ。

あ?こらダサいって言うな。本当のことだけど。


菅谷真悠子さんって人が初代総長だったんだ。みーんな菅谷さんって呼んでたよ。

チーム菅谷は当時、創設して間もない新参者だった。何しろここら一帯は若洲鹿組の管轄だからな、ほかのやつらはなかなか敵の陣地のど真ん中で新しいチームなんて作ろうと思わなかったわけさ。みんな腰抜け共だったんだ。あぁ、そうさ、菅谷さんはいわゆる勇者だったんだよ。



そりゃ若洲鹿組を良く思わない連中もゴロゴロいたさ。警察や紫ノ宮の生徒会にまで目つけられてた訳だし。
菅谷さんは強かった。それでいて周りから好かれていた。なんていうかリーダー気質?そんな感じかな。だからそんなあの人が新しいチームを創設するって聞いてみんながあの人のもとに集まったのさ。もちろんあたしたちもその中にいた。


それからというもの、チーム菅谷はみるみる勢力が大きくなっていった。いつしか、若洲鹿組に対抗できるほどになっていったんだ。
若洲鹿組のボス…なんていったっけな?まぁいいや、そのボスとうちの菅谷さんや里美はずーっと敵対してたんだよ。今もな。




…え?菅谷さんは今どうしてるか…って?



…多分、今も元気にどこかで暴れまわってるんじゃないか?…ん?あぁ、きっと元気さ。

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