Dilemma

「なぁ、マブダチよ？一体どこへ向かっているんだ？」


愛梨に会った直後、若宮のバイクの後ろに乗せられ、どこかへ走り始めてから数時間。


「さぁな…人生に行き先なんて必要ナッシング！思い通りの道を爆走してこそ人生さ！なぁお前ら！」


「「イエッサーボス！」」


若宮の後ろを走る子分たちは、元気よく返事する。


「はっはーそうか意外に良いこと言うな、マブダチよ。でもさぁ、一応どこ行くか決めね？もし思うままに人生を走り抜けて行き着いた先が地獄だったらどうする？後悔するだろ？」


「後悔なんてしないさ！一度きりの人生！後ろを振り返る暇も無いさ！行き着いた場所が地獄だろうが、天国だろうが、ゴールには変わりないさ！」


「…ふーん。その言葉、忘れんなよ。」


「女に二言は無い！だが、マブダチの為だ。たまには行き先でも決めるか！」


「お前らどこ行きたいー？」と若宮が子分たちに聞く。


直後、「海ー！」「ボスん家ー」「高級料理店ーもちろんボスの奢りでー」など叫んできた。


「はっはっはっいいなそれ採用！じゃ、ボスのお気に入りの場所へ連れてってやろー！今回だけ特別だぞー！？」


「いやなにも採用してねぇじゃねぇか！！」


志暢が鋭く突っ込むが、誰の耳にも聞こえていないようだった。