もっと、君に恋していいですか?
同僚たちに言われた言葉が悔しくて、目の前で彼女をけなされているのに怒って言い返す事も出来ない自分が情けなくて、ただ拳を握りしめて、足早に自宅へ向かって歩き続けた。

(オレたちが付き合ってるって、そんなに隠さなきゃいけない事か?こんな悔しい思いしてまで?!)

自分の中でどんなに否定しても、薫が好きだと言う気持ちは変えられない。

あんなに薫に腹を立てていたくせに、他人に薫を悪く言われると、はらわたが煮えくり返りそうなほど悔しい。

本当は薫を想う事をやめるなんて出来るわけがないのに、子供みたいに嫉妬してムキになっている自分が情けなくて、どうしようもない。

(もうわけがわからない…。どうして何も言ってくれないんだよ、薫…。)



自宅に戻った志信は、シャワーを浴びてから、スマホを手にタバコを吸っていた。

思いきって電話しようか。

それとも今日こそ電話がかかって来るかも知れないから、もう少し待ってみようか。

少し日が経った事もあって、余計に素直になれないでいる。


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