もっと、君に恋していいですか?
本社に戻る少し前、事務員の女性が薫を手招きした。

「卯月さん、良かったらこれ、もらってくれる?」

小さな袋から2つのシュシュを取り出して、事務員の女性は優しく微笑んだ。

「私、趣味でこういう髪飾りを作ってるんだけどね…。これ、卯月さんに。」

「私にですか?」

かわいらしい淡いピンクと、上品な色合いの水色のシュシュを差し出され、薫は驚いた。

「今回は卯月さんが来てくれて、みんな本当に助かったの。マネージャーもサブマネージャーもいなくて、どうしていいかわからなかったから。」

「いや…それが私の仕事ですから…。」

薫が控えめに答えると、事務員の女性は娘を見るような優しい目で笑った。

「それでもね、誰にでも簡単に出来る事じゃないのよ。少なくとも私は、卯月さんが来てくれて、本当に安心したの。卯月さんならなんとかしてくれるって。」

「ハイ…。」


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