もっと、君に恋していいですか?
仕事中はプライベートな話を絶対にしようとしない薫を、食事に行こうと梨花は誘った。

相変わらず元気のない様子ではあったが、薫は少しならとその誘いに応じた。

仕事の後、更衣室で着替えを済ませ、一度車を置きに自宅へと戻った薫は、本社の近くで梨花と待ち合わせた。

梨花は魂の抜けたような薫の手を引いて、少し先にある居酒屋へ向かった。

居酒屋についてオーダーしたビールが運ばれて来ても、薫は元気がない。

いつもなら一杯目のビールを、ジョッキの3分の1ほどを一気に飲み干すのに、今日はチビチビと美味しくなさそうに飲んでいる。

「卯月さん…大丈夫ですか?」

「うん…。」

明らかに大丈夫ではないのに、薫は何も言おうとしない。

「笠松さんと何かありました?」

梨花の問い掛けに、薫はジョッキを傾ける手を止めて目を潤ませた。

「……嫌われちゃったみたい…。」

か細い声で呟いた薫の言葉に、梨花は耳を疑った。

「えっ…。どういう事ですか?ちゃんと話して下さいよ。」



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