もっと、君に恋していいですか?
たいした量の酒も飲んでいないのに、薫はここ数日に起こった志信との出来事を、ポツリポツリと話し始めた。

ビアガーデンで梨花たちが席を外した間に起こった、敦のプロポーズの話。

その後に志信に言われた言葉。

翌朝、青木部長からの連絡の後、加賀美に向かう時にスマホを忘れて、加賀美にいる間ずっと志信に連絡出来なかった事。

やっと本社に戻って来たら、志信が他の女の子と話していた事と、その内容。

「私がいない間に、合コンに行ったんだって。合コンで知り合ったその女の子に、今度は二人で飲みに行こうって言われても、断らなかった…。それって本当に、私はもう一緒にいなくていいって事だよね…。」

薫は涙を堪えながら、か細い声を振り絞るように話す。

酔ってもいないのにこんな話をするなんて、相当弱っているなと思いながら、梨花は薫の話に耳を傾けた。

「もう嫌われちゃったかも知れないって思いながら、それでも信じようって頑張ったけど…。もう遅かったみたい…。」

薫は手にしていたジョッキを傾け、勢いよくビールを煽って一気に飲み干した。


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