もっと、君に恋していいですか?
誰よりも自分の事を理解してくれていると思っていた。

こんな女らしくない自分をかわいいと言ってくれる志信を、誰よりも大切にしたいと思っていた。

ヤキモチ妬きなところも、少し意地悪なところも、甘い言葉も、優しいキスも、志信のすべてが大好きだった。


志信を想う気持ちは変わらないのに、遠くなってしまった志信を想うと、どうしようもなく切なくて、胸が痛い。

溢れる涙を手の甲で拭いながら、薫はトボトボと肩を落として歩いた。

夏の夜風が、涙で濡れた薫の頬を撫でる。

愛しそうにそっと頬を撫でる志信の指先を思い出して、薫は立ち止まり、堪えきれず両手で顔を覆って嗚咽をもらした。

(たった1ヶ月で終わっちゃった…。ホントに大好きだったのに…。もう、一緒には居られないんだな…。)







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