もっと、君に恋していいですか?
「…もしもし…。」

「薫…まだ起きてた?」

「うん…。」

薫はいつもとは違う、頼りなくか細い声で返事をした。

「…泣いてたの?」

「……うん…。」

涙声で小さく返事をする事しか出来ない薫の、しゃくりあげる息づかいが志信の耳に響いた。

薫の泣き顔を思い浮かべると、どうしようもなく胸が痛い。

「やっぱりちゃんと薫の顔見て言う。今から、行ってもいい?」

「…うん…。」

「すぐ行く。待ってて。」


志信は電話を切って急いで着替え、転がるようにして部屋を飛び出した。

生暖かい夜風が志信の頬を撫でる。

薫を悲しませ、泣かせてしまった自分を責めながら、薫のマンションへと急いだ。



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