もっと、君に恋していいですか?
志信は薫の涙で濡れた頬や目元に優しくキスをして、ギュッと抱きしめた。

薫が志信の腕の中で、おそるおそる顔を上げてためらいがちに口を開く。

「でも…あの子の事はいいの…?」

薫が言っている“あの子”とは、えりかの事だと志信は気付いた。

「ああ…。あの子、昔の配属先の後輩だって。あの子とはちょっと話しただけで、なんにもないから…。」

「合コン…行ったんでしょ…?」

志信は少し気まずそうにうなずく。

「ごめんな…。薫から連絡ない事に腹立てて、ちょっとムキになって行ってみたけど…行くんじゃなかったって後悔した。」

「どうして?」

「高い金払って香水臭い女と酒飲んだって、面白くもなんともないし……かわいい子もいないし…。」

志信の言葉に、薫がピクリと眉を動かした。


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