もっと、君に恋していいですか?
薫はいつになく気弱な志信の頬に、指先でそっと触れて微笑んだ。

「2度と恋愛なんてしないって思ってた私を変えたのは志信でしょ?自信持ってよ。」

「そっか…。」

薫は志信の胸に甘えるように頬をすり寄せてもたれ掛かり、少し小さな声で尋ねる。

「志信は私と付き合ってるのみんなに知られても、恥ずかしくない?」

「恥ずかしいわけないじゃん。むしろ自慢したい。って言うか…知られて恥ずかしいのは薫の方だと思うんだけど…。」

今度は薫が不思議そうに首をかしげた。

「志信と付き合ってるのが恥ずかしいなんて思った事ないよ。なんで?」

「薫と比べてオレは取り立てて仕事が出来るわけでも、目立つわけでもないし…格差がすご過ぎて…。頼りないだろ?」

薫は自信なさげな志信の頬を両手で包み込み、覗き込むようにジッと目を見つめた。

「私、会社の役職とか肩書きなんかで人を好きになったりしないよ?志信の事、頼りないとか、たいした男じゃないとか、どうでもいいなんて全然思ってない。」

「ホントに?」

「嘘ついてどうするの。」


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