もっと、君に恋していいですか?
志信に真剣な面持ちで詰め寄られ、薫は言いにくそうに口を開いた。

「……押し倒されて、冗談じゃなくて本気だって言われた。」

「えっ?!」

驚いて大声を上げる志信に、薫は慌てて弁解する。

「でも、やめてって言ったらすぐ離してくれたから。その時は、それ以上は何もない。」

「……その時は、って…他にもあるの?」

また志信の顔が険しくなった。

薫は観念したように、正直に話す。

「………今日、本社に戻って来て…志信とあの子が話してるの見た後に…抱きしめられて、好きだって言われた。志信より幸せにするから自分を選んで、って。私が津村さんを好きだって言うまであきらめない、って…。」

「薫は…アイツになんて言ったの?」

「私が好きなのは津村さんじゃないからやめてって言った。私が好きなのは志信だから…。」

志信は薫を強く抱きしめた。

「オレ以外の男に触れさせたくない。」

「私も、志信じゃないといやだよ。」

薫は志信の腕の中で顔をあげて小さく笑った。


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