もっと、君に恋していいですか?
大切な人がいます
それからしばらくの間、二人で手を握り合い、時おり見つめ合ってキスをして、寄り添っていた。

「そろそろ出掛ける用意しようか。」

「そうだね。」


起き上がって洋服を着て、身支度を整える。

薫は洗面所で鏡に向かって、いつもより少し丁寧に化粧をした。

仕事の日は使った事のないアイシャドーを、手に取ってみる。

志信に初めて想いを伝えたあの日に、梨花が選んでくれたアイシャドーだ。

あれから1度も使っていない。

せっかくだからたまには使ってみようと、アイシャドーをチップに取り、少し緊張しながら目元に塗った。

(おかしくないかな…?)

いつもは化粧らしい化粧をしないので、会社の人に見られるのは少し照れ臭い気もする。


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