もっと、君に恋していいですか?
「志信、大好き。」

「オレも薫が好き。」

二人は笑って、触れるだけの短いキスをした。

「さぁ、そろそろ出掛けようか。」

「あ、髪くくり直して口紅塗るから、少しだけ待って。」

薫は鏡の前で髪を斜めに結び、シュシュをつけて、はみ出さないよう慎重に口紅を塗った。

アイシャドーの色と口紅の色、そしてシュシュの色。

いつもは色気も化粧っけもない自分に彩りを添えた事で、なんとなく気持ちが上がる。

(ちょっとした事だけど、なんかいつもと雰囲気変わる?)

いつもより少しだけオシャレをした。

ちょっぴり照れ臭いような、自分を見てもらいたいような、不思議な気分だ。

女性としてほんの少し前に進めた気がした。



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