もっと、君に恋していいですか?
本社勤務でありながら、ほぼ現場勤めの薫は、社内でもかなりの変わり者として恐れられ…いや、頼りになる存在の有名人だ。


“男性社員よりも仕事が出来過ぎる、無口で無愛想な可愛いげのない卯月さん”


陰でそんな風に言われている事は、薫自身も気付いていないわけではない。

それでも好きな仕事を思いっきりしている時は楽しい。

一日中デスクに向かってパソコンとにらめっこをして、オジサン上司のセクハラまがいのイヤミや他の女性社員のしがらみの中で息を潜めているなんて、絶対に耐えられない。



(よし…。できた。)

薫はタイヤ交換を終えてピットから出した車を洗車機に入れ、サービスルームでアイスティーを飲みながら寛いでいる女性客に作業内容の説明をした。



< 3 / 225 >

この作品をシェア

pagetop