もっと、君に恋していいですか?
「ねぇ、志信…返事くらいしてよ…。」

薫が少しシュンとして志信の手を握ると、志信はゆっくりと薫の方を見てため息をついた。

「ホントはオレなんかどうでもいいんだろ?」

「え?」

「ゴメンな、頼りない男で。オレと付き合ってる事、薫がみんなに隠したがってるのわかってるから、あんな状況でもオレは何も出来なくて情けなかったよ…。」

「何言ってるの?」

志信は自嘲気味に笑って言葉を続ける。

「他の男に抱きつかれたり、あんな事言われたりしても…オレがたいした男じゃないから、隣にいる男と付き合ってるって言えなかったんだよな。」

「違うよ…。なんでそんな事言うの?」

「ホントの事だろ?そんなのオレ自身が一番よくわかってるよ。」

「志信…。」

志信は薫の手を自分の手からほどいた。


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