もっと、君に恋していいですか?
“いいよ、無理して一緒にいてくれなくて。オレなんかじゃ釣り合わないのわかってるから。じゃあね、卯月さん。”
(薫って…呼んでくれなかった…。一緒にいなくていいなんて…志信は私の事、もう嫌いになっちゃったの…?)
志信の冷たい言葉と、嫌われてしまったかも知れない不安が胸に押し寄せて、薫はシャワーを頭から浴びながら嗚咽をもらした。
止めどなく溢れ出る涙が頬を伝い、シャワーのお湯と混じりあって流れていった。
シャワーを終えて部屋に戻ると、住み慣れたはずの部屋が、なぜかやけに広く感じた。
薫はベッドに身を投げ出して、ゴロリと寝返りを打った。
志信が泊まる夜はピッタリくっついていないと転げ落ちてしまいそうな狭いベッドさえ広く感じる。
いつも優しく抱きしめて髪を撫でてくれる志信の事を思い出して溢れた涙が、じわりと枕を濡らした。