もっと、君に恋していいですか？
付き合い始めてから、隣にはいつも当たり前のように志信がいた。

一緒に食事をして、ビールを飲んで、他愛ない話をして笑った。

何度も名前を呼んで、好きだよと言って優しく抱きしめてキスしてくれた。

本当なら今夜も、いつもの週末のように、二人で過ごすはずだった。

（志信がいないと、こんなに寂しいんだ…。）

浩樹との社内恋愛に傷付いて、もう２度と恋愛なんてしないと思っていた。

志信と付き合うまで、随分長い間一人だったのだから、一人でいる事には慣れているはずだ。

それでも、志信と付き合い始めてから、まだ１ヶ月ほどしか経っていないのに、志信なしではいられなくなっている自分に薫は気付いた。

（もう好きじゃないから別れようって言われたらどうしよう…。）

誰よりも一生懸命仕事を頑張っている薫が好きだと言ってくれた志信が、薫の仕事の話を聞いてから様子がおかしかった。

（付き合い出したら、仕事してる時の女らしくない私がいやになったのかな…。）


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